免疫の働き

人間の体には、体外から侵入した異物や危険物質から身を守るために、免疫システムが備わっています。異物には、細菌、ウイルス、真菌のような微生物や回虫などの寄生虫といったいわゆる病原体のほか、癌(がん)細胞、移植された臓器や組織などがあります。体内で免疫反応を引き起こす物質が抗原と呼ばれ、抗原は細菌、ウイルス、その他の微生物、癌細胞の内部や表面に存在します。また花粉や食物の分子のように、そのものが抗原となることもあります。免疫反応が正常に働いていると、異物の抗原を見つけ出し、防御力を結集してそれを攻撃し、体を守っています。

腸管と免疫

免疫系の代表器官は骨髄と胸腺です。血球(赤血球、白血球、血小板)は、骨髄で作られます。
又、体の中で最も異物が侵入しやすい場所は、栄養を吸収する小腸(腸管)ですが、小腸にも免疫系を活性化する器官が存在します。
 小腸の粘膜を広げると、テニスコート1面分の面積。消化吸収だけが能ではなく、神経細胞もあって、その数は1億個。脳以外に存在する神経細胞の半分は腸にある。全身の免疫を司るリンパ球の60−70%が腸管に存在し、抗体全体の60%は腸管で作られている。皮膚の200倍もの面積があり、体中のリンパ組織の6〜7割が小腸に集まっているといわれます。

胸腺ではTリンパ球を作っていますが、高校生頃に胸腺は大きさも働きもピークを迎え、以後は徐々に小さくなって、40歳ごろには1/4程度の大きさになり、80歳ぐらいになると、胸腺は痕跡程度となってしまいます。
胸腺由来の免疫力は40歳頃からかなり低下して、体の無理が利かなくなるのは免疫力の低下による為です。

 年をとるとともに免疫システムも衰弱し、徐々に自己と異物とを区別できなくなります。マクロファージが細菌や癌細胞、その他の抗原を破壊する力も落ちてきます。これが、年をとると癌になりやすい理由の1つです。
高齢者は、抗原に反応してつくられる抗体の量が減少し、抗体の抗原に結合する能力も低下します。高齢者が肺炎、インフルエンザ、感染性心内膜炎、破傷風にかかりやすく死亡率も高いのは、こうした免疫システムの低下が一因と考えられます。
このような免疫機能の変化によって、高齢者は感染症や癌にかかりやすくなります。

中年以後は、腸管免疫が中心

中年以後、免疫系器官の中心は胸腺から腸管リンパ組織へ移行します。

腸管免疫の主役は、パイエル板と呼ばれる腸管組織です。食物は小腸で吸収されやすい様に低分子レベルまで消化分解され、腸管上皮細胞から吸収されます。

これに対し、免疫乳酸菌アガリクスのβ-グルカンなど免疫賦活剤BRMは消化分解されず、大きな分子のまま腸まで到達します。
腸管には、パイエル板という大きい分子の物質を異物として認識して、そのまま取り込む特別な器官が多数存在します。
生体はパイエル板で認識した異物に対して、必要に応じて抗体を産生したり、白血球を活性化させたりして免疫機能を賦活しています。
中年以後の免疫機能は、ヒトの最大の免疫器官である腸管で如何に免疫機能を高めることが重要です。

ヨーグルト不老長寿説
 ヨーグルトなどの乳酸菌発酵食品が健康に良いという話は20世紀の初頭にまでさかのぼります。1908年にノーベル医学・生理学賞を受賞したメチニコフの有名な「ヨーグルトを大量に食べる習慣のあるブルガリア地方に長寿の人が多い」というヨーグルトによる不老長寿説を唱えたことに端を発しています。しかしブルガリアのヨーグルトから分離した菌はヒトの腸内に定着しないことがわかり、この説も消えかかってしまいました。
しかしその後の日本人による研究で、「発酵乳を摂取したマウスの平均寿命が牛乳を与えたマウスより約8%増加する」ことが明らかとなったのです。この研究は発酵乳の研究の中でも大変有名ですが、試験に用いられた発酵乳が殺菌されていたことを知っていた方は少ないと思います。この研究によって乳酸菌は死んでいたとしても、身体に大きな生理効果を与えることが明らかとなりました。メチニコフの提案は正しかったのではないでしょうか?

免疫乳酸菌は「数の論理」
乳酸菌が死んでいても効果があることはご理解頂けたと思いますが、「殺菌しても良いかもしれないが、生きていた方がもっと良いのでは?」という考えが当然生まれてくることと思います。しかしそれは生菌と殺菌乳酸菌が「菌数が同じ」ときの話だと思います。「菌数が圧倒的に違うのならどちらが有利でしょうか?」
EC-12は2包中(6g)に、3兆個の殺菌乳酸菌が含まれています。
乳酸菌におけるTNF-?およびIL-12の誘導能比較
右の図はEC-12に使用されている免疫乳酸菌EC-12のTNF-?活性化度を試験管の中で測ったものを示したものです。乳酸球菌EC-12が他の乳酸菌より高い活性化度を示していることが判ります。TNF-?はマクロファージから産生される抗腫瘍物質であり、免疫乳酸菌EC-12の抗腫瘍機序にマクロファージが関与していることが伺えます。
また抗腫瘍機序にはさらにもう一つ別の作用も期待できます。右の図は、免疫乳酸菌のインターロイキン-12(IL-12)産生能を示したものです。やはり他の乳酸菌よりも産生能が高いことが判ります。
単球やマクロファージから産生されるIL-12という物質(サイトカイン)は、Th1型ヘルパーT細胞を誘導して抗腫瘍免疫を活性化する作用があることが知られています。すなわち免疫乳酸菌EC-12の抗腫瘍機序はマクロファージのみならず、T細胞、B細胞、NK細胞にも関与している可能性も示されました。
抗腫瘍に関する動物実験データ
<方法>
7週齢BALB/c雌性マウスに免疫乳酸菌EC-12をマウス体重あたり10mg/kg、または1000mg/kg濃度で実験期間中毎日1回経口投与しました。経口投与1週間目に繊維肉腫細胞であるMeth Aを背部皮下に2.0×106/mouse濃度で接種した。腫瘍接種後の死亡率を観察しました。

<結果>
この試験では、普通のえさを食べていたマウスは20〜32日目で死んでしまいましたが、免疫乳酸菌EC-12投与群では実験期間の40日目まで経過しても1匹も死にませんでした。また、免疫乳酸菌EC-12をこの試験の100分の1の摂取量でも、この結果の半分程度の効果が観察されました。