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■ 血管新生(angiogenesis)
血管新生 (angiogenesis) は既存の血管から血管を構築している細胞(特に血管管腔 の内壁を裏打ちしている血管内皮細胞)の増殖、遊走により新しい血管ネットワー クが形成される現象のことであり以下の2つに分類される。
1つは、生体内でごく 普通に起こる生理的現象 (physiological angiogenesis) は、創傷治癒の機転や炎症によ る肉芽形成・胎児や胎盤の形成・子宮内膜における性周期などでみられる。
一方、 病態生理の進展と密接に関連した血管新生 (pathological angiogenesis) として、糖尿 病性網膜症・黄斑変性・乾癬・関節性リュウマチ炎・動脈硬化のプラーク形成、そして悪性固形腫瘍の増殖がある。Physiological angiogenesis は生体防御反応の一種 であり、病気の治癒・組織の発生・再生に与するものであるのに対し、 pathological angiogenesis は病因そのものであり、特に悪性固形腫瘍の増殖・再発・遠隔転移に血管新生が深くかかわっていることは近年数多く報告されてきている。

(文責;(文責;東京慈恵会医大付属柏病院 田中俊英) )